加藤さんは、三軒先の近所に住む90歳後半の女性。10年ほど前に引っ越してきた時に知り合った。既に夫は亡くなり、一人暮らし。中庭のある割と広い家はかなり古く、2年前の台風で雨漏りがし始めた。修理は一年以上待たされた。いつもインド綿のゆったりした服を着て、角地にある家の周りの掃除をしていた。夫は近くの国立大学の先生をしていて、ノーベル賞を取った有名な先生の弟子であり、大学の改革に力を尽くした。彼女自身はインド哲学に興味があり、何度もインドに行き、インドに圧倒された。夫が亡くなった時、遺産相続の話が出たが、夫は妻を愛していたので、遺産を全て妻の名義にしていた。それで娘とは険悪の仲になった。娘は強欲で、何度も家に来て、喧嘩をしたが、もうずっと尋ねては呉れない。定期的に世話をする人が来て面倒を見てもらっている。彼女は何ヶ月前から全く姿が見えなくなった。