ユエン氏は30歳くらいで、中国山東省出身で現在京都の大学の博士課程に在学し仏教を学んでいる。日本語の読み書きは上級レベルである。普段から明るい茶色の了埃長袍のような服を着て生活している。日本の仏教を学ぶ学生はほとんどがそうした服装をしていない中では、目立つだろう。
彼は以前のことはあまり言わないが、26歳の頃強く無情を感じるようになり中国で出家したという。中国では法律上信仰の自由があるが、共産党員は無宗教でなければならない。国家にとって仏教は周辺的な事象であるに過ぎない。博士号を取ったとしても、中国で教職に就くことはそもそも難しいのでどちらにしろおよそ不可能である。
食事は無論菜食主義者なので野菜と、中国北部で一般的であるように饅頭を食べる。食事は外では難しいので、普通は自宅で野菜を炒めて食べる。日本では饅頭に似ているイングリッシュマフィンをよく食べる。仏教徒なので食事を味わうということはしない。なるべく味を感じないで素早く済ます。肉食はよくない。植物は生命がないので食してもいいが、動物たちは祖先の生まれ変わりである。肉を食べるのは罪深いことである。また喜びはよいことではない。それは常に悲しみと相関的な関係にある。悟りに到達するためには喜びや悲しみを超越しなければならない。これからもっと日本語を学びたい。