戦時中、飛行機の音がするので外に出た。空を見上げると零戦が一機飛んできた。それは村を旋回しながら、何度も翼を上下に動かし、やがて飛び去っていった。あれは神谷だった、俺の同級生だったんだよ。やつは帰らなかったが、あれが最後と知っていて、自分の村に飛んできて、最後のお別れをしたんだ。 (当時88歳の父親の話)